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8/5 大阪サウンドコレクションに行ってきました。明日の8/6の日曜までやっておりますので、
関西地域在住の方は是非!毎年秋のハイエンドオーディオショウより良かったです。
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各線難波駅方面から、御堂筋を北上する場合は、大丸百貨店の前で左に曲がればすぐです。
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これは大阪の御堂筋の西側、方向は北側を向いています。心斎橋付近の写真です。
この道を左に曲がれば歩いて一分足らずで右手に会場の心斎橋ハートンホテルがあります。
今回は本館の開催はなしで、別館の2階から5階まで開催されています。
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トップバッターはエントランスから二階に上がると、大広間にありますノア・アークジョイアのブース。
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ノア・アークジョイアのブース
左から、
小型ブックシェルフは Guarneri Tradition 、 Serafino Tradition(ペア260万) 、
Venere Signature (ペア79万)、Amati Tradition (ペア360万)です。
ええっ!?少し前のソナスファベールからすると信じられないほど安くなってますが、
一体どうしちゃったの??これほんとうにこの値段でいいの?筆者でも買えちゃいますよ!
セラフィーノとアマティはミッドレンジとトゥイーターが完全に共通の兄弟機、
当然ですが音質も統一感があって、音色は非常によく似ています。伸びやかで開放的な音、
設計思想は現代的なもので、リジットに箱を固めて鳴かさない、"静けさ"を重視した設計。
ガルネリの背面にある目立つシルバーのアルミの板はエンクロージュアの補強版だそうです。
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フランコ・セルブリン作以降のソナスには良い印象を持ったことが無かったのですが
今日聴いたサウンドは本当に意外なことに魅力的なものでした。
鳴らしていたのはブルメスターのセパレートとオーディオリサーチの官球機です。
「これはアンプの力?」確かにそうかもしれません。ニュージェネレーションのソナスを
象徴する立ち上がり速さと高い解析力、ソナスの豊潤な音楽性が聴けました。
二台のフロアースタンディングタイプはダブルウーファーですが、
スタガー駆動となっておりそれぞれ受け持つ帯域が異なっています。
よく制動されたトランジェントのよい引き締まった低域でとても感心しました。
良くも悪くも往年のソナスとは全く性格が違います。とても現代的に大きく進化した音です。
しかし、フランコ時代のモデルは≪猫にマタタビ≫のような蠱惑的な音色が存在し、
唯一無二といえる、ウットリと聴き惚れてしまう心地よさがありました。
自分はノアのブースに二時間以上は居たのですが、セラフィーノとアマティは中高域ユニット
が共通で設計思想も同じですから、よく似た音で、やはり価格の高いアマティの方が
一枚上手でした。分かりやすい両者の差は"スケール感"において如実に表れていましたが、
価格差が少ないので迷いますが、アマティの方がお薦めですね。クオリティの点では
両者の差はそれほどないと感じました。(二時間のほとんどを911で聴いてました)
「買いたいか?」と問われると、かなりいいスピーカーですが、やや中途半端ですね。
世界は広く、他にもっと性能的に優れたスピーカーが存在するわけです。
ただ外観の仕上がりの良さはトップクラスなので、インテリア性であるとか、
所有感に重きを置かれる方には良いかも。それと価格が大幅に安くなっているので
検討してみるのも良いかも知れません。
ソナスのネットワークですが、広くてモダンな美しい工場の片隅に四つの机が並んでいて、
自社の職人さんが作っているそうです。箱の塗装は六回ほど繰り返し行うという話でした。
Studio Franco Serblin Accordo も聴きました。大広間の講演会場で聴きましたが、
色っぽい音で鳴らされていた。アッコルドの専用スピーカースタンドの使用率は100%、
理由はエンクロージュアの中はWILSON AUDIOディビッド・ウィルソンの言葉を借りれば、
「タービュランス(乱気流)なんだ」でありますから、ネットワークは振動などの悪影響を
盛大に受けて音質が劣化する。ですから、アッコルドのネットワークはスピーカー
スタンドの方に格納されてしまったんですね。したがってスピーカーケーブルの
接続端子もスタンドの下の方に付いている。(傅先生の講演より)
それと、ソナスの創立者であり、伝説的エンジニアであるフランコ・セルブリンですが
ヴァイオリンの巨匠たちの名を自分のスピーカーに冠したり、クラシックばっかりの
人というイメージが先行しており、「ソナスといえば、声楽と弦楽」という先入観が
強いのですが、実はフランコは聴感による追い込みだけではなく、測定も重視して
いますし、音決めに使うプログラムソースもクラシックだけではなくて、JAZZや
ROCKもよく使われていたそうです。ダイアナ・クラールのジャズボーカルも
音決めに使っていたそうですよ。
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アマティとセラフィーノのサイレントスパイク、一見グラグラで不安定なようですが、
振動を吸収する特殊機構となっております。これは常識ですがスパイク受けは使っていません
基本的にはフローリングの床を傷付けたくないなどの理由がない限りスパイク受けは
使わないのが標準です。それはスピーカーの振動を床に効果的に逃す為です。
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Burmester911MkⅢドイツ連邦 ステレオパワーアンプ ¥3,300,000
欧州ハイエンドの覇者として君臨するドイツのブルメスター、このブランドの製品は
ロングライフが特徴で、同じ顔をしたアンプが五世代、二十年と連綿と受け継がれています。
創設者はディーター・ブルメスター、同社製品は首都のベルリンで製造されています。
もうひとつの王者はFMアコースティックスですが、トップエンドは同様に高価なものの、
ブルメスターは手が届く?範囲まで製品展開しています。こちらは明るく開放的な音色で、
鋭く切れ込む音も余裕でこなしますが、柔らかい音ですね。ハイエンドとしての基礎性能も
格段に高く、高い質感とフラットバランスが実現させた細やかで心地よい空気感が特徴です。
1990年(平成2年)年に誕生したステレオ・パワーアンプ911にリファインメントを重ね、
とりわけ出力段に大幅なリデザインを施したのが、911MkIIIです。総容量130,000μFにおよぶ
フィルター・コンデンサーと750VAの巨大なトロイダル・トランスから構成される電源部により、
4Ωにて350W+350Wという余裕の大出力を実現しています。筐体重量は37kgでバランス
入力のみです。また、オプションの専用接続ケーブルを使用してブリッジ接続したモノラル
アンプとしてご使用になることも可能、この場合は4Ω負荷で770Wの大出力パワーアンプとして
ご使用になることも可能です。何度も導入を検討したのですが、ダイナミクスやスケール感も
及第点に達するものの、入手機会が少なく高額なので導入は未だ果たせておりません。
素晴らしい製品群ですが、我を忘れるほど引き込まれるような吸引力がやや足りないです。
やはりお国柄かアメリカ製と比べると、雄大だが自然体の音で誇張感などはないので、
温厚な感じです。しかし、欲しくなる魅力的なアンプです。(同じドイツのオクターヴは
凄まじい迫力ですが)これが大人の音、ヨーロッパの音です。音楽性はきわめて高く、
世界は広いですし、筆者は全てのアメリカンハイエンドアンプは知りえないのですが、
ドイツやスイスなどのアンプに音楽性の次元の高さではアメリカ製は敵わないと思う。
背景にある音楽の歴史の深みが違うと思うのです。ブルメスターはソナスファーベルと
組み合わせて鳴らされている事がとても多いですね。
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Audio Research VT80アメリカ合衆国 ステレオパワーアンプ ¥1,000,000
Audio Reseaechは欧米で数十年間もの長きに渡って絶大な支持を集める
オーディオ超大国アメリカの重鎮と云える名門ブランド。VT80はKT120プッシュプルの
真空管パワーアンプ、ハイブリッドプリアンプLS28。8/1に発売されたばかりの
新生ファウンデーションシリーズ。真空管らしさに溢れるチューブテイストサウンドで
ありながら、濁りを感じたり曖昧なところがなく、音の印象としては透明感に優れた
現代的な管球サウンドを聴かせるパワーアンプ。なにか突出した個性や
異彩を放つといったところは無くて、王道ともいえる中庸な路線であると云える。
暖かく余韻が感じられ、ボーカルなど抜群の色気が出る。MADE in USA らしく
JAZZの再現性が素晴らしい(!) 雰囲気がいいし、暖かみのある真空管アンプなのに
寒色で硬質な金管楽器のリアリティや音色の描き分けも見事。OCTAVEとは
また違った意味で現代の官球アンプといった趣きと、基本性能の高さもありますが、
往年のオーディオリサーチが持っていた怒涛の力感で押しきるような迫力満点なところは
すっかり影を潜めてしまっている。良い意味で年月を重ねて洗練された音だが、
一聴して欲しくなるような鳴りっぷりのよさ、外連味、オンリーワンの特徴などの強烈な
アピールはないので、わずか10分くらいの今回の試聴ではOCTAVEを所有している
筆者は欲しいとまでは思いませんでしたが、この値段でこの品質とサウンドクオリティ
だったら選択肢に入ってくる方は多いと思う。真空管はEARやOCTAVE だけではなく、
Audio Reseaechも聴いてみてほしい。それと既にAudio Reseaechを気に入って使って
いる方は無理をして買い替える必然性はないと思った。さすがはAudio Reseaechです。
輸入品で100万というプライスタグでこの内容と音はとてもお買い得だと思う。
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太陽インターナショナルのブース
AVALONとNAGRA、dCSの組み合わせが聴けました。
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Nagra HD AMP 56kgの巨大ソリッドステート、フラッグシップモノラルパワーアンプ。
見通しのよい空間構築力と溢れ出るハイエナジー、Nagraの色濃い独特の音色と
高い音楽性。しばらく耳に残るような他では聴けない麻薬的な音色があります。
音場の広がりが秀逸。ダイナミックレンジは無限大。Nagraはスイス製なので、
いわゆる往年のアメリカ製アンプのハイプレッシャーサウンドという感じではないんですが、
この強大なエネルギー感は見事です。ただ、サウンドからするとプライスタグがあまりに
も高価すぎます。大量生産して安くする日本の発想とは真逆の手間暇をかけ、
コスト度外視でやりたいことをとことんやりきってしまう、まさしく高級スイスブランドの
流儀と呼べるものですね。スイスは仕事で訪れる人が多いので、費用は企業負担に
なるお蔭もありますが、首都のベルンのホテルは十万円から、マクドナルドの時給が
二千円もするらしい。だから高いのも仕方がないと傅先生が仰っていましたね。
(一昨年含む四回訪問) 筆者はスイスは行ったことないですが、イギリスとドイツと
フランスとオーストリア、イタリアは行ったことあります。1991年ですけどね(笑)
もしかしたらスイスは列車で通過したことはあるかも知れません。ドイツ国境付近の
田舎の方では五千円くらいの家庭的でリーズナブルな宿もありますが。
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ステラ/ゼファンブース
VIVID audio GIYA G2 スピーカーシステム 南アフリカ ¥5,600,000
Constellation audio TAURUS ステレオパワーアンプ アメリカ合衆国 ¥ 2,700,000
VIVID audio GIYA G2と 型番不明のステレオアンプでしたが、Constellation audio
レヴァレイションシリーズの TAURUS Stereo Power Amplifier との組み合わせだと思う(?)
ステレオアンプだったので、Stereo1.0かも知れません。
試聴時間が短いので確かな事は言えませんが、去年聴いたトップエンドのモノラル機と
価格程大きな差がないというか、それほど遜色ないかも知れません。
2016年の秋のハイエンドショウと同様の印象で、非常に鮮烈で、まるで稲妻のような音で
バリバリと鳴ります。誇張感のある、とてもメリハリがある音ですね。強烈な印象となって
耳に残るのですが、色気や官能性といったものもかなり高く、ググッと惹きつけられる音です。
サウンドレベル、サウンドクオリティーの高さは語るまでもありません。
ただ、FMアコースティックスの方が良いと思いますが。しかし Constellation audio は
一般人に手が届きそうな価格帯のラインナップもあります。
VIVID audio GIYA G2は全ユニットを同じ素材で統一して作られているので、
やはり音の繋がりが抜群によく、毎回とても関心しますね。
我々が普段聴いているホーンスピーカーはホーンとコーンを、
昔のスピーカーですがマーチンローガンでしたら静電型の振動膜とコーン
ウーファーの組み合わせでスピーカーシステムを構築している訳です。
違和感なく聴いているわけですが、これらを「木と竹を繋ぐようなものだ」と
異論を唱える人も昔から居る訳です。
確かに、同じ素材で統一されたユニットというものは良いなと感じました。
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テクダスのエアフォースシリーズのハイエンドアナログプレーヤーでラッカー盤を聴かせて頂きました。
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アキュフェーズのブース
ACCUPHASE C-2405 プリアンプ パワーアンプは型番不明です
色彩感がとても薄く感じられます。原音再生を目指したアキュフェーズは筆者の感性や
嗜好性とはまさに水と油、正反対です。忌憚のない意見を書くと、いつもと同じですが、
とても味気ないし、さっぱりしすぎて脂が乗っていないつまらないと感じる音です。
解析力は高いので大編成の交響曲をもっとも得意としています。
本日もクラシックが掛かっていました。
TAD Reference One は150kgの質量を誇る巨大な・・・・・○○?
地味な暗い音色ですね。設計思想は 『何も足さない、なにも引かない』 だそうです。
レコードには音楽家の情念、彼らの音楽の解釈が既に表現されているので、
それを 『ありのままに』 再現するのがTADブランドの究極の目標だそうです。
TADのブースもアキュフェーズのブースも共通して云えるのはTADスピーカーから
聞こえてくる音楽はとてもつまらない。音が死んでいるじゃないか。
本当はもう少し良い音で鳴る筈なんだけど、これは酷い音だ。
もっと良い音で鳴らさないと、これでは不見転のお客さんまで失ってしまう。
製品作りがプロなら、プレゼンテーションもプロの技量を備えなければならないのでは?
ヤバイなこの音、コストパフォーマンスが非常に優れているとの評判が高く、
TADは購入検討したこともありましたが、買わなくて良かったと心底思いました。
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TADのブースです。この音はぼくの好みじゃありません。感想はアキュフェーズのブースに
準ずる。もうこれらのブースは訪れる必要ないんじゃないのかな?と自問自答しました。
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評論家の傅信幸先生の講演、確か全行程二時間半くらいでしたが、立ちっぱなしで
足が疲れるのと他のブースを回る時間が無くなるので、休憩時間に入ったタイミングで
中座し、先生の講演は最初の一時間半だけ拝聴しましたが、傅先生の講演は
オーディオマニアの視点からみると興味深く面白い。評論家先生の中で間違いなく
トップの海外経験の豊富さにも裏打ちされた、先生の講演でしか聴けない話がありますよ。
TADのブックシェルフは大会場を充分に音楽で満たすブック離れした壮大な
サウンドプレゼンスで広大な音場の広がりと"鳴りっぷり"のよさを聴かせていました。
広い会場が小さなブックシェルフの音で埋め尽くされるのです。
ブルメスターで鳴らすと音楽性が感じられ、この会場では説得力のある
魅力的な音で鳴っていました。TADのブースでTADのアンプで鳴らしていた音、
アキュフェーズのブースで鳴らされていた音は好ましくありませんでしたね。
傅先生とノア/アークジョイアの野田社長(大変紳士な方)との会話でご紹介しておきたいのが、
傅先生 「ソナスのフランコ・セルブリンが独立したのは何年でしたっけ?」
野田社長 「1989年にソナスを設立、1993年にはソナスを離れ、2006年にスタジオ・フランコ・
セルブリン社を設立ですね」 と話しておられましたが、はて?時系列が合わないですぞ。
野田社長から距離が10mくらい離れていましたから聞き間違えたかな?
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本稿の最後はエソテリックのブース、
うう、筆者は根っからのホーン野郎なのですが、エソテリックのブースはアッカの向かいにある
んですよね。このサウンドコレクションでブッチギリでダントツの音を聴かせたブースの
直後に聴きに行ったものですから、avangarde Duo XDは悲しいくらいに 「お気の毒様」 でした。
具体的にはラッパの鳴きが酷くて、サウンドを汚してしまって聴いていられないのです。
サウンドプレゼンスもあまり感じられない。もう少し音量を上げて欲しかったですね。
好みの違いを通り越して、これだけの基本性能の格差があれば、観念するしかないと思った。
パワーアンプの grandioso s1も酷い音色でした。高精細で日本的な無機質の音。
アッカ及び YG Sonja XV のレポートは別記事に記載します。また本記事は後ほど
大幅に加筆修正され、全てのブースの動画も添付される予定です。
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